ソファから飛び降り前肢を骨折(犬の橈尺骨骨折)の手術・治療経過|イタリアン・グレーハウンド
症例紹介
症例プロフィール
- 犬種:イタリアン・グレーハウンド
- 年齢 性別:6ヶ月齢 オス
- 体重:7kg
- 病名:左側橈尺骨(とうしゃっこつ)骨折
主訴・来院時の症状
「ソファのうえから抱っこで下ろそうとした際にジャンプしてとびおりたあとから跛行、左の前肢を上げて痛がっている」という主訴で来院。
身体検査において左前肢に強い痛みと腫れ、異常な可動性(本来曲がらない方向に足が動いてしまう状態)が認められたため、詳しく状態を確認するためにレントゲン検査を実施しました。
検査と診断

レントゲン検査の結果、前腕の2本の骨(橈骨と尺骨)が完全に折れてしまっている「左側橈尺骨骨折」と診断しました。
特にイタリアン・グレーハウンドのような肢が長く、骨が細い小型犬種では、ソファや抱っこからの着地といった日常のちょっとした衝撃でも折れてしまうことが多く、早期の確実な手術(外科治療)が必要となります。
治療(手術)
ご家族と相談の上、来院翌日(第2病日)に骨を元の位置に整復し、強固に固定するための手術を行いました。
【手術内容の概要】
左側橈骨骨折部位にプレート固定を実施

術後の経過(レントゲンによる骨の修復確認)
手術後は定期的にレントゲン検査を行い、骨が順調にくっついているか(骨癒合の状態)を確認しながら、段階的にインプラント(スクリューやプレート)を抜釘していく治療計画を立てました。
術後〜術後50日の経過

手術直後から骨が正常に整復されていることが確認できます。術後10日、30日、50日と順調に回復していきました。
術後72日:一部のスクリュー(ネジ)抜釘

術後72日、固定強度を落とす目的で、一部のロッキングスクリューを抜去(抜釘:ばってい)しました。抜釘後11日(術後83日)の検診でも問題なく、足を使って元気に歩けています。
術後134日:プレート本体の抜釘

定期的なレントゲン検査により骨癒合の状態を確認し、術後134日にプレートと残りのスクリューをすべて抜去しました。抜釘後8日(術後142日)の経過も非常に良好です。
術後169日〜238日(最終確認)

プレート抜釘後、徐々にスクリューホールも消失し、術後238日(抜釘後104日)の最終検診でも、骨折の痕跡が分からないほど治癒し、元通り元気に走り回れるようになりました。これにて無事に治療終了(完治)です!
獣医師からのまとめ・予防のアドバイス
犬の橈尺骨骨折は、特に若齢(子犬期)のトイプードル、チワワ、ポメラニアン、そして今回のイタリアン・グレーハウンドといった超小型犬・小型犬に多発する重大な怪我です。
「これくらいの高さなら大丈夫だろう」と思えるソファやベッドからの飛び降り、抱っこからのうっかりした落下が原因になることがほとんどです。
【予防のためにご家族ができること】
- ソファやベッドの横にはペット用のステップ(階段)やスロープを設置する
- フローリングなどの滑りやすい床には、ラグやカーペット、マットを敷いて滑り止め対策をする
- 抱っこをするときは必ず座った状態で行うか、脇をしっかり締めてホールドする
もし万が一、着地したあとに「足を上げて痛がる」「触ると怒る」「歩き方がおかしい」といった症状が見られた場合は、無理に動かさず、すぐに当院までご相談ください。早期に適切な固定手術を行うことで、今回のように元の元気な状態にしっかりと治癒することができます。
手術費:268,500円
入院費:66,000円 (6日間)
その他:88,000円
総額およそ:422,500円
※当院の健康管理サポート会員様は上記費用より割引される項目がい くつかございます。
※病状、状態により条件が異なれば費用も異なります。あくまで本症例の治療の目安としてご参考になさってください。

監修
苅谷動物病院グループ 外科部長
岡村 優