診療・ケア 神経科

診療・ケア

Neurology.神経科

ペットにこんな症状はありませんか?

注意するべき症状

  • 硬直する
  • よだれが大量に出る
  • ボーッとする
  • 突然走り出す
  • ピクピクする
  • 口をくちゃくちゃする
  • 手足をバタバタたする
神経科の犬

考えられる疾患

てんかん

てんかんは、原因不明または遺伝に関連する「特発性てんかん」と、脳の障害による「構造的てんかん」、全身性の病気による「反応性発作」に分けられます。犬では全身性発作、猫では部分発作が多く起きます。
てんかんを失神など他の疾患と鑑別し、てんかんの原因となる病気の有無を調べるため、血液検査・神経学的検査・レントゲン検査・エコー検査・尿検査・血圧測定・MRIなどを必要に応じて行います。てんかんを起こす病気がある場合はその治療を行います。

発作を6か月以内に繰り返したり、5分以上続く、発作後の異常が重度など、発作の予防薬(抗てんかん薬)を開始する基準に達すると、投薬を開始します。 治療の目標は発作を全く起きなくする、または頻度を1/3に減らす、ひどい発作になるのを減らすなどです。抗てんかん薬を開始後、発作の頻度や長さ、重症度などが開始前の50%以上低下すれば、治療効果があったと判断します。
治療が必要なてんかんを無治療のままでいると、てんかんの頻度や重症度などが悪化したり、抗てんかん薬も効きにくくなるため、適切な治療が必要です。

認知症(認知機能不全症候群):てんかんの原因として

認知症は、高齢期に脳の萎縮を特徴とする神経変性疾患の一つであり、症状は人の認知症に似ています。14才以上の犬の18%で認知症が疑われますが、身体症候はもっと前から徐々に出てきます。
徘徊、昼夜逆転、夜鳴き、決まった場所以外での排泄(猫では不適切な発生が最も多い症状)などが起き、てんかんにもなります。 寝たきりや、歩かなくなることで認知症が発症しやすくなるため、元気に歩ける時間を長く保つことも重要です。

治療では、薬物療法、サプリメント、食事療法、環境整備(安全な場所の確保、ルーチンの提供など)を総合的に行うことが推奨されています。 早期の診断と介入が症状の進行を遅らせ、ペットの生活の質の向上や介護負担を軽減するのに役立ちます。
また、他の脳疾患でも認知症と同様の症状を起こすため、症状が少しでも見られる場合、早めにご相談ください。

頭部外傷:てんかんの原因として

脳挫傷や脳震盪が、転倒転落、交通事故などにより、頭蓋骨の中で脳が損傷を受けることにより起きます。頭蓋骨の骨折がなくても、脳の出血や浮腫が起きている場合もあるため、注意が必要です。
脳挫傷や脳腫脹がある場合脳圧が亢進し、重篤な場合は生命に危険が及ぶため、脳圧降下剤による治療を行います。

症状として、意識障害、四肢の麻痺、てんかんなどが見られ、一過性の症状と後遺症として残る症状があります。脳出血は受傷の1-数日後に症状が見られる場合もあるため、頭部外傷後に異常が見られた場合は、すぐにご相談ください。

水頭症:てんかんの原因として

脳の周りや脳の中にある脳室に貯留している脳脊髄液が過剰に溜まり、脳が圧迫を受けて様々な症状が出ます(てんかん、意識障害、四肢の不全麻痺、眼振、斜頸など)。
原因には先天性と後天性の水頭症があり、後天性のものは脳の出血、脳炎、脳腫瘍などが原因で発症します。先天的に脳室が拡大していても無症状な場合もありますが、外傷や感染により神経症状がで始めることがあります。脳疾患による水頭症でも、てんかんから発症する場合もよくあります。

治療には、内科療法(脳圧降下剤、頭痛があれば鎮痛薬、てんかんがあれば抗てんかん薬など)と外科療法(脳室から腹腔に髄液を排出するシャント術)があります。手術は、急性では症状が改善することが多く、慢性では改善は少ないが悪化していかないことが多く、副作用もあります。
早期発見、早期治療が大切なため、異常が認められた場合、早めにご相談ください。

治療の流れ

  • ➀ ご来院・問診・身体検査

    初診の場合、神経科の問診票にご記入のうえ、一般の身体検査と診察を行った後、神経科の診察となります。神経科での問診は、診断のために重要な情報となるため、質問も多く、時間をかけて行います。
    てんかんがある場合、てんかんが起きている様子を動画に録画して持参していただくと、発作かどうかなどの判断に非常に役立ちます。

  • ➁ 検査の実施

    必要に応じて、神経学的検査に加えて血液検査、X線検査、エコー検査、血圧測定などを行います。さらにMRIやCT、脳波、筋電図などの検査が必要な場合、CT以外の検査は他の検査機関や大学に紹介、依頼しています。症状や経過、検査結果からさらにどの検査をどこまで行うのかを、ご相談しながら進めていきます。

  • ➂ 治療のご提案

    症状と経過、検査結果から診断を行い、治療方法の提案を行います。全ての検査ができない場合も、可能性の高い疾患の治療を行い、診断を絞り込んでいきます。
    薬による内科治療に加え、椎間板ヘルニア、環軸亜脱臼などの外科手術(脳外科は大学病院に依頼しています)、レーザーや水中トレッドミルなどのリハビリや自宅でのリハビリの指導、サプリメントや食事・環境の整備の指導なども行っています。

  • ➃ 治療の評価

    神経学的検査をはじめとした検査を行い、治療効果を判断しながら、適切な治療を行っていきます。 例えば椎間板ヘルニアの場合、自宅での運動制限を行っていただきますが、活発な性格のため運動制限がうまくできず症状が改善しない、または悪化する場合、コルセットの作成と着用をお勧めする場合もあります。 リハビリを行っている場合、関節の可動域や筋肉の周囲長などを測定し、評価の材料としています。

神経科からのご案内

・「突然歩かなくなった」「抱っこしたらキャン鳴きした」などの症状が出た場合、椎間板ヘルニアの可能性がありますので、早期の来院をお勧めいたします。来院後、神経学的検査やレントゲンなどにより、神経の疾患が疑われる場合は、CT/MRI検査をお勧めいたします。
椎間板ヘルニアと診断され、手術が適応の場合は当院にて手術を行います。また内科治療や術後のリハビリも行っていきます。

・てんかんや脳出血、脳梗塞などは症状が急に起きますが、ご家族が留守中に起こっている場合もあります。少しふらつく運動失調や、首が曲がる斜頚、急に反応しなくなる意識障害など症状が多岐にわたることから、ご家族の観察が非常に重要となります。 てんかんをはじめ、歩き方(猫は特に病院では歩いてくれないことも多いため)などご自宅での様子を、動画に撮ったり、メモをして頂けると経過の判断や診断がしやすくなります。動画の持参をお願いする場合は、宜しくお願い致します。

・ふらつきや踏ん張れなくなるなどの症状は、老化による筋力低下や関節痛、椎間板ヘルニアや脳疾患などで起きます。老化によるものと決めつけず、一度診察を受けることをお勧めします。