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Case Studies and Columns 症例紹介・コラム

症例紹介

  • 前十字靭帯断裂 ~脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)~

    疾患の説明 大腿骨に対して脛骨が前方に脱臼するのを防ぎ、また脛骨の内旋を制御する役割を担っているのが、前十字靭帯です。 前十字断裂は、大きな力が掛かることにより、この靭帯が完全または部分的に切れて裂けてしまった状態です。 急性の完全断裂は比較的若い犬に発生しやすく、跛行(脚の引きずり)が見られ、時に半月板の損傷を伴います。 部分断裂の場合、初期の診断が難しく、完全断裂に移行することもあります。 断裂は左右両方の脚で起こる場合があり、病態が進むと変形性関節症の悪化を引き起こす原因にもなります。 前十字断裂は外傷に起因するケースが多いですが、下記もその要因となるため注意が必要です。 ●加齢に伴う靭帯の変性 ●免疫介在性関節炎 ●股関節形成不全 ●膝蓋骨脱臼 ●副腎皮質機能亢進症 ●肥満 治療の内容 視診・触診・整形外科学的検査、レントゲンや関節鏡などの画像検査の結果から診断します。 治療法には内科的治療法と外科的治療がありますが、多くの場合、外科的治療が必要となります。 本症例では、現時点で治療成績・機能回復面で最も優れた治療方法と考えられている、脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)を行いました。 脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)とは 脛骨の上部を円周状に切離し、脛骨高平部(下図のaの面)を水平に近づける手術法です。 この手術を行うことで、歩行・運動時の脛骨の前方脱臼が無くなり、膝関節が安定化して、機能回復します。 手術時には半月板の状態も確認し、損傷があれば部分的に半月板を切除します。 手術では緑色の点線部を切断します。 aの面が水平に近づくように、切離した脛骨をずらし、 角bの角度が小さくなったことを確認してプレートで骨を固定します。 治療後の注意点 手術後は5~7日程度の入院が必要となりますが、その後は自宅で管理をして頂きます。 この症例では、手術から数日後には、異常があった左の後ろ脚に体重をかけて歩行できるようになりました。 術後3~4週間は走って遊ぶことは避けていただき、リードを付けての運動に限定しますが、その後は定期的に診察のうえ、徐々に運動量を増加させていきます。

  • 尿管結石 ~SUBシステム尿路変更術~

    疾患の説明 猫では腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石など、泌尿器に関連した尿石症が多く認められます。 症状としては、元気や食欲の低下・嘔吐・腹部痛がよく見られ、ひどい場合には急性腎不全に進行してけいれん発作を引き起こすこともあります。 診断には、血液検査・尿検査に加えてレントゲン検査・超音波検査・造影検査・CT検査などの画像検査が必要となります。 治療の内容 各種検査の結果、両側の尿管にできた結石による急性腎不全と診断されました。両側の尿管閉塞により、全身状態の急激な悪化が認められたためすぐに手術を行いました。 通常、尿管結石は1ヵ所であれば尿管切開により摘出します。しかし、今回のケースでは尿管内に複数の結石があったため、SUBシステムによる尿路変更術を実施しました。 SUBシステムとは尿管閉塞により水腎症となった腎臓と膀胱を人工のチューブで繋いで尿路(バイパス)を確保する方法であり、 尿管結石が複数ある場合や尿管狭窄によりステント(体内の管状の部分を内側から広げるために使う器具)が挿入困難な場合に適応となります。 手術では開腹後、腎臓→膀胱の順にチューブを設置し、それらのチューブを皮膚の下でポートに連結します。手術中は透視下で通過確認をしながら進めていきます。 左:複数の結石(○の中) 中:人工のチューブで尿路を確保 右:体内に設置されたチューブとポート 治療後の注意点 手術後は腎不全も改善し、7日間の入院治療で順調に回復しました。 自宅では、抗生剤の投与・排尿の状態と血尿の有無を確認して頂き、腹帯をつけて、抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 また、結石分析の結果により、結石の再発予防のための処方食を食べさせて頂くことになりました。 SUBシステム設置後は、術後管理として定期的なチューブの洗浄が必要となります。

  • 肝臓腫瘤 ~肝臓腫瘤摘出術~

    疾患の説明 肝臓の腫瘤は中高齢の動物に発症します。腫瘤が小さい場合には症状が表れないため、健康診断で偶発的に発見されるケースが多くあります。 肝臓の悪性腫瘤には肝細胞癌・胆管細胞癌・カルチノイド・肉腫など様々な種類があるため、確定診断には病理検査(病変の組織・細胞を顕微鏡で観察する検査)が必要です。 治療法には、外科手術・化学療法・放射線療法・免疫療法・分子標的療法などがあり、これらを単独、もしくは組み合わせて行っていきます。 治療の内容 今回のケースでは、健康診断時の血液検査・レントゲン検査・超音波検査にて肝臓の腫瘤が認められたため、手術を前提とした追加検査としてCT検査を実施しました。 CT検査の結果から腫瘤の発生部位や転移の有無を検討したところ、手術適応なケースと判断されたため、摘出手術の実施となりました。 手術では、全身麻酔下で開腹後、肝臓腫瘤の発生部位や大きさ、他臓器との癒着の有無を確認し、肝臓腫瘤を摘出します。 手術は、サンダービート(※1)やソノキュア(※2)などの低侵襲の機器を使用して、動物への身体的なダメージを極力抑えながら行いました。 ※1.高周波電流と超音波振動を用いて切開・止血をする手術機器。 ※2.超音波を用いて組織の破砕・乳化・吸引などをする手術機器。 CT検査で認められた肝臓腫瘤 低侵襲の機器を使用 切除された病変 治療後の注意点 手術後、点滴・抗生剤・鎮痛剤・肝庇護剤を投与したところ順調に回復し、5日間の入院治療の後、退院となりました。 自宅では、抗生剤と肝庇護剤を投与して頂き、エリザベスカラーを装着して抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 手術により摘出した腫瘤を病理検査した結果、病変に肝細胞癌が認められましたが、その辺縁部位には癌細胞は認められませんでした。 肝細胞癌は悪性腫瘍の中でも転移する可能性が低いため、摘出することにより、予後は比較的良好といえるでしょう。        

  • 胆のう破裂 ~胆のう摘出術~

    疾患の説明 各種検査の結果、胆のう破裂に伴う重度腹膜炎を起こしていることが分かりました。 胆のう破裂は、重度胆のう炎・胆のう内にゼリー状の内容物が過度に貯留する胆のう粘液のう腫・胆石による総胆管閉塞などが原因で起こります。 胆のう破裂は、肝臓酵素の上昇・黄疸・腹膜炎などを併発し、死亡率が高い疾患です。 血液検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査・腹水の貯留液検査などにより診断され、多くの場合、早急な手術が必要となります。 治療の内容 胆のうを摘出するための手術を行いました。開腹後、胆のうの状態を確認し、破裂部位を探します。 次いで胆のうを肝臓から剥離し、カテーテルを使用して、総胆管~十二指腸の通過を確認します。 その後、破裂した胆のうを摘出し、腹腔洗浄を行い、腹水排液のためドレーンを設置して閉創します。 手術後には、今後の治療に用いる抗生剤を判定するため、腹水や胆のう内容物の細菌培養および感受性検査を行います。 また、病態をさらに詳しく評価するために、採取した肝臓の一部を生検し、摘出した胆のうの病理検査を行います。 治療後の注意点 手術後は7日間の入院治療で、点滴・抗生剤・鎮痛剤・肝庇護剤などを投与し、ドレーンからの排泄が減少した時点でドレーンを抜去、退院となりました。 自宅では抗生剤や肝庇護剤などの投薬をして頂き、腹帯をつけて抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 感受性検査の結果により、後から抗生剤を変更する場合もあります。

  • 尿管結石 ~尿管結石摘出術~

    疾患の説明 猫では腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石など泌尿器に関連した尿石症が多く認められます。 症状としては、元気と食欲の低下・嘔吐・腹部痛がよく見られ、ひどい場合には急性腎不全に進行して、けいれん発作を引き起こすこともあります。 診断には血液検査・尿検査に加えて、レントゲン検査・超音波検査・造影検査・CT検査などの画像検査が必要となります。 治療の内容 各種検査の結果、尿管にできた結石による急性腎不全と診断されました。結石を摘出するための手術を実施しました。 猫の尿管は非常に細いため、尿管結石摘出は難易度が高い手術となります。全身麻酔下で開腹後、目的の尿管にアプローチし、尿管結石を確認します。 尿管を切開して結石を除去し、細いカテーテルやガイドを使用して尿管の開通を確認した後、髪の毛よりも細い縫合糸で丁寧に尿管を縫合します。 尿管から尿の漏出がないことを確認し、腹腔内洗浄、閉腹します。 治療後の注意点 手術後は点滴治療を行い、7日間の入院で順調に回復して退院しました。 自宅では抗生剤の投与、排尿の状態と血尿の有無を確認して頂き、腹帯をつけて、抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 また、結石分析の結果により、今後は結石の再発予防のための処方食を与えて頂くことになりました。