CASE

尿管結石

Case04.尿管結石 ~尿管結石摘出術~

9歳の猫。3日前から元気と食欲がなく、じっと動かず、嘔吐しているとのことで来院されました。
診察の結果、意識レベルがやや低下しており、脱水症状が見られました。

疾患の説明

猫では腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石など泌尿器に関連した尿石症が多く認められます。
症状としては、元気と食欲の低下・嘔吐・腹部痛がよく見られ、ひどい場合には急性腎不全に進行して、けいれん発作を引き起こすこともあります。
診断には血液検査・尿検査に加えて、レントゲン検査・超音波検査・造影検査・CT検査などの画像検査が必要となります。

治療の内容

各種検査の結果、尿管にできた結石による急性腎不全と診断されました。結石を摘出するための手術を実施しました。
猫の尿管は非常に細いため、尿管結石摘出は難易度が高い手術となります。全身麻酔下で開腹後、目的の尿管にアプローチし、尿管結石を確認します。
尿管を切開して結石を除去し、細いカテーテルやガイドを使用して尿管の開通を確認した後、髪の毛よりも細い縫合糸で丁寧に尿管を縫合します。
尿管から尿の漏出がないことを確認し、腹腔内洗浄、閉腹します。

左:結石(○の中)
中:結石を除去
右:摘出された結石

治療後の注意点

手術後は点滴治療を行い、7日間の入院で順調に回復して退院しました。
自宅では抗生剤の投与、排尿の状態と血尿の有無を確認して頂き、腹帯をつけて、抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。
また、結石分析の結果により、今後は結石の再発予防のための処方食を与えて頂くことになりました。