CASE

胆のう破裂

Case02.胆のう破裂 ~胆のう摘出術~

11歳の犬。3日前から嘔吐していて元気と食欲がなく、腹水の貯留があるとのことで他院より紹介されて来院されました。
診察の結果、呼吸は速く、ややぐったりし、腹部を押すと痛がる様子が認められました。

疾患の説明

各種検査の結果、胆のう破裂に伴う重度腹膜炎を起こしていることが分かりました。
胆のう破裂は、重度胆のう炎・胆のう内にゼリー状の内容物が過度に貯留する胆のう粘液のう腫・胆石による総胆管閉塞などが原因で起こります。
胆のう破裂は、肝臓酵素の上昇・黄疸・腹膜炎などを併発し、死亡率が高い疾患です。
血液検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査・腹水の貯留液検査などにより診断され、多くの場合、早急な手術が必要となります。

治療の内容

胆のうを摘出するための手術を行いました。開腹後、胆のうの状態を確認し、破裂部位を探します。
次いで胆のうを肝臓から剥離し、カテーテルを使用して、総胆管~十二指腸の通過を確認します。
その後、破裂した胆のうを摘出し、腹腔洗浄を行い、腹水排液のためドレーンを設置して閉創します。
手術後には、今後の治療に用いる抗生剤を判定するため、腹水や胆のう内容物の細菌培養および感受性検査を行います。
また、病態をさらに詳しく評価するために、採取した肝臓の一部を生検し、摘出した胆のうの病理検査を行います。

治療後の注意点

手術後は7日間の入院治療で、点滴・抗生剤・鎮痛剤・肝庇護剤などを投与し、ドレーンからの排泄が減少した時点でドレーンを抜去、退院となりました。
自宅では抗生剤や肝庇護剤などの投薬をして頂き、腹帯をつけて抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。
感受性検査の結果により、後から抗生剤を変更する場合もあります。